作品の説明ボサソ郊外の荒れた大地の上に高い壁に囲まれた刑務所はあった。2009年(海賊行為が最も活発な年)の取材時、刑務所には200人を超える海賊行為の容疑者たちが収容されていた。バスケットコートのような広いコンクリートの敷地の両側に容疑者たちが入っている鉄格子の房はあった。わたしがインタビューした男たちのすべてが〝自分は海賊ではない。ただの村人、ビジネスマンでわけもなくここに引っ張られた〟と海賊であることを全面否定しがたい。また別の男は〝自分は一介の漁師にすぎず、最近増えている欧米やアジアからの大型漁船が不法にソマリア近海の漁業資源を奪ったり、毒性の強い産業廃棄物を海に不法投棄していくので、自衛のために自分たちも武装して彼らと戦っているだけだ〟と声を大にしてわたしのカメラに向かって話していた。
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