作品の説明ディンカ族は南スーダン最大の部族であり、牧畜民だ。牧畜民は1年中水と草を求めて移動する遊牧民とは違い、季節(雨期と乾期)によって水草を求めて移動し、ソルガム、ミレット(雑穀)、メイズ(モロコシ)など一定の農耕を営む生活スタイルを持った人たちである。もう一つの主要部族のヌエル族とは時に反目し、戦いに至ることもある。現在(2014年)の南スーダンの戦いの要因の一つにこの民族対立が挙げられている。 牧畜民にはキャトル・レイド(Cattle-raid/家畜襲撃)という〝戦いの文化〟がある。彼らにとって生きる上で最大の価値は「牛」であり、どれだけその牛を保有するかによって力と富が計られる。牛こそすべてといっても過言でない、それはとくに大切で気に入った牛には、名前はもちろんのこと、牛に対して詩を捧げるくらいだ。〝・・・・よ、どれほどわたしはお前のことが大切か、どれほど愛しているか・・・〟、そういった詩が牛の目の前で朗々と語られる。若い戦士たちは多民族や、隣村を襲撃することによって牛を奪い、増やし、それによって男であることを証明し、周囲の尊敬を勝ち得る。さらに若い男たちはファッションには実に敏感で、長けている。 画の男たちの頭の上にあるのは鳥の羽だ、また採り溜めておいた牛の小便を使って髪の毛を金色に脱色しお洒落を競う、「男」「戦い」「ファッション」・・・、キャトル・キャンプは特別の世界かもしれない。 <注>ただし他のアフリカ紛争の例にもれず、急速に銃火器が浸透するやキャトル・レイド(家畜襲撃)は過度の攻撃、犠牲を生み今多くの深刻な問題を提起している、また以前のように長老たちの頃合いを見た調停も効かなくなっている。
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